チャイナタウンの中心に位置するワット・トライミットは、1238年に創建された当初は、特に見どころもなく平凡な寺院でした。このなんの変哲もない寺院が一躍有名になれたのは、本尊に置かれている純度60%、高さ3M、重さ5.5tもの地金でできている正真正銘T金U製の時価120億円といわれる仏像が来てからです。
この本尊に置かれている仏像は市内の廃寺からワット・トライミットに移転される直前まで、盗難防止のために仏像全体が漆喰でカモフラージュされていました。この偽装工作は完璧であったようで、本堂内の飾られている古い写真を見ると泥棒が盗む気になれないほど、仏像の顔が歪んでいました。しかし、誰もが疑わない見事なカモフラージュであったためだれからもすっかり忘れられてしまい、朽ち果てていく寺と共に長い年月にわたって打ち捨てられていました。
不運の日々を送っていたいたこの仏像でしたが1953年にバンコク港の工事のため廃寺の取り壊しが決まり移転されることになりました。同年5月に移転への作業が開始されたのですがこの醜い仏像は、図体のわりに重量がありました。取りあえず寺の外に出したものの、予想以上の重さのため吊り上げたクレーン車が壊れてしまいました。しかたなく仏像は、外に放置されたまま作業員は移送を諦めて家に帰ってしまいました。その晩、ちょうど嵐になってしまい仏像は一晩雨と風にさらされることになりました。どこまでも見捨てられるかわいそうな仏像。翌朝、関係者が再び作業を開始しようと近づいてみると、雨ではがれた漆喰の中から金色の光がにじみ出しているのに気づき漆喰を取り除いてみると中から目も暗むような黄金の仏像が現れました。黄金仏の再降誕は、まるで醜いアヒルの子のような話ですがこれが、300年ぶりに姿を現したと言う黄金仏の真実。
以来、ワット・トライミットが連日参拝者で賑わい始めました。数奇な運命をたどった仏像は、いまも篤い進行を集め、本堂から人陰が絶えることがありません。