「怪物」
静寂なる森の奥 深く湧き上がる魚影 栄光が獣と戯れる者を映し出す
遥か彼方より木霊する鼓動、大地の声がこの静寂を破壊し彼を覚醒させる
真っ直ぐ目を見開き、未開未知なる源へ向かって
水を飲み、葉をむしり、根をかじり、獣を捕らえ、火を起こす
「朝日を浴びて、夕日を眺め、月を崇め、風を感じて、雨を待て」
更なる信仰が彼を進ませ、成長させ、生気を湧きたて、その糧を生んでゆく
計り知れぬ未知を拓いた彼、道の果てか奮い立つほど巨大な山の絶壁にもへばりつく
頂に背を向けず勇ましく、命に生を懸けて立ち向かい、今、頂より異国を一瞥した
「細菌」 そう、すでに自然界は彼を「バクテリヤ」と囁きはじめていた
怪物が絡み合う怪奇な世界 快晴が彼を覚醒させた正体
言葉にならない雄叫びを上げ、この場より一心不乱で駆け下りる
その怪物と共に暮らすモノ 物の怪と共に働くモノ
争いを生む紙幣を手にするモノ 円形のコインという土俵で相撲を取るモノ
災いを生む兵器を手にするモノ 円錐の身分という砦で力をふりかざすモノ
天然資源の為に利権戦争をするモノ 親類親族の為に受験戦争をするモノ
悲しき犠牲をなんとも思わないモノ 自暴自棄の果て自ら灯火を絶つモノ
黒を嫌い白を愛するモノ 富を愛し貧を嫌うモノ
監獄の中で無実を叫ぶモノ 孤独の中で無人島を探すモノ
機嫌取りにおべっかを使うモノ
左右前後から襲いかかる怪物をかわし、一目散へ駆け抜ける
その新たな宇宙の叫びに覚醒した「バクテリア」と「怪物」は
一気にかけ落ちる
自然界が回生し創造する奈落の谷へ
詩題「怪物」 詩:宮内 靖彦(IKKYU HEADZ)